タイトル:

悪いのは親だけ?

本時のねらい:物事の表面だけを見るのではなく、何事にも背景がありそれをよく考えた上で自分の意見をもつことの大切さを知るきっかけにする。
【内容項目】(9)相互理解、寛容

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 女児遺棄に関する記事を読んでみましょう。筆者は両親の責任を問うています。 ・ひどい、悲しい
・就職活動に子どもがいることがどのように関係するのか
・そういうこともあるのか
・重い内容ではあるが、こういう事件が実際にあること、今回はその重さにとらわれすぎず考えてほしいことを伝える。
・最初にワークシートを配布し、順次書き込んでもらう。
・雰囲気が重くなりすぎないように気を付ける。
読売新聞 記事
展開

1.なぜ母親は子供を遺棄してしまったのでしょうか。母親の気持ちを考えて書いてみましょう。

・就職活動に邪魔だったと書いてある
・父親が助けてくれなかったので育児と就職が両立できなかった
・育てるお金が無かったから
・子供が嫌いだったのかもしれない
・育てるのが面倒になったんだろうと思う
・誰も頼れる人がいなかった
・どのようなことでも良いので想像して書いてもらう。その後、教室内で共有する。
・この事件の社会的背景についてある程度説明をする
  〇就職活動に子どもが邪魔になる理由
  〇育児にかかるお金
  〇母親の年齢と社会的立場
  〇ライフプランニングの甘さ
  〇性教育の不十分さ          など
2.どうすれば母親は子供を遺棄せずにすんだのでしょうか。母親、父親、その他(行政など)の視点から自由に考えてみましょう。 【母親】
・見通しを持って妊娠・出産の計画をする。そのための知識をつけることも必要。
・誰かに頼る
【父親】
・母親をきちんと支える
・不用意に妊娠させない。
【その他】
・育児を支える制度を充実させる。その広報をする。(企業、行政)
・地域のコミュニティをつくる。悩みを抱える人がそれを吐き出す場を設ける。(地域)
・性教育、ライフプランニングについての教育を行う(教育)
・まず一人で考えてもらい、次にグループで共有してもらう。「その他」の部分は難しいかもしれないので、適宜ヒントを出しながら机間指導をする。
・生徒の答えに質問をしながら考えを深めてもらう。
3.子供を遺棄したことは両親だけの責任でしょうか?
問いの2(展開の2)をふまえて考えてみましょう。
・親だけの責任ではないと思う。
  行政や企業が育児支える制度をもっと充実させるべきだ。
  周りの人間とのつながりが希薄になっている現代社会の現状も原因では。
・親だけの責任だと思う。
  遺棄する以外にも解決方法は考えられたはず。
  たしかにいろいろな事情はあっただろうが、遺棄という結果を選んだのは親である。
・どのような立場の意見でも理由をきちんと聞き、否定はしない。
まとめ 女児遺棄事件の背景には様々な要因が考えられました。
このように、一見1つのことに原因があるように見えても、様々な立場、視点から物事を見てみるとそうでないかもしれません。その上であなたがどう考えるか、ということが重要ではないでしょうか。
日常の色々なことも、広い視野を持って様々な立場に立って考えてみましょう。
・物事には色々な背景があることがわかった。
・人の言動を頭ごなしに否定するのはよくないのかもしれない。
・苦手な人がいるけど、その人にはその人なりの事情があるのかもしれない。
・視野を広く持つことの大切さがわかったが、難しいことだ。
・感じたこと、普段の生活を振り返って考えたことなどを書いてもらう。
・あくまで「きっかけづくり」のため、多面的にものを見ることの重要性を十分理解させることに執着しない。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中1   中2   中3  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ: 重いテーマではあるし人の命が失われた事件であるので良い・悪いの議論に陥りやすいかもしれないが、改めてそこには様々な要因があることを確認することで良し悪しではなく客観的に物事をとらえられるようになってほしいとの思いで作成した。
評価の観点:
・物事を多面的に見ようとしているか。
・人の意見を受け止め、理解しようとしているか。
・自分の意見を根拠を持って伝えようとしているか。