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スポーツ選手のマナー

本時のねらい:中日新聞のH26.5月6月朝刊の市民投稿欄に二か月に渡ってスポーツ選手のマナーについて4つの意見が載せられた。記事には、サッカー選手のつば吐きやガムを噛む行為が見ていて不快だ、失礼だと批判する側とそれらは試合進行上仕方のない行為だ、ガムを噛むことにはリラックス効果があり、パフォーマンスには必要だ、といった擁護する側の意見の二つがある。
これらの記事を使いながらスポーツ選手のマナーについて議論を繰り広げ、最終的に、選手と観客を「見られる側」「見る側」と捉えて、自分を選手に置き換え自分の行為がどのように周りの人に見られているか考え、自らのマナー向上を図る機会にする。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 今日はスポーツのマナーについて考えます。まず初めに自分たちのするスポーツにはどのようなマナーがあるか考えます。部活や体育の授業での自分の経験をもとに自分たちが何気なく行っていたり、先生や先輩に教えられた心がけにはどんなものがあるか教えてください。 ・会場に挨拶する
・掃除をする
・道具を大切にする
・顔の知らない人でも関係者には挨拶する
・服装をきちんとする
・仲間を大事にする
・人を傷つけない
・大きな声で返事をする
・ルールを守る
・勝っても負けても悪口言わない
文化部の生徒は運動部の生徒よりも経験が少なく消極的になる可能性があるので、積極的に声をかけて、体育の授業の経験など聞き出す。あらかじめ体育の先生にそのような指導をしているのか聞いておくと、誘導しやすいのでよい。
展開

1.では、次に大きな舞台で活躍しているプロのスポーツ選手について考えます。みなさんはTVやスタジアムなどでスポーツ観戦をしたことがあると思います。そういった中で見かけた選手の何気ないマナーやこれはひどいとおもうようなマナー違反を発表してください。

・(野球)わざとデッドボールを打った
・(陸上)スパイクで人の足を蹴って邪魔をした
・(サッカー)わざとプレイの邪魔をした
・(バスケ)シュートのときに暴言を囁いてわざとプレッシャーをかける
・(野球)敵でも怪我したら手を貸す
・(サッカー)人がけがしたのを見たら試合を中断するためにボールを外に出す
・(マラソン)市民大会などに招待されたら、本気で走らないで他のランナーを励ましながら走る
・ファンサービス
・(韓国サッカー)政治問題に手を出す
・(フランスサッカー)噛みつく
話題が尽きたら、めぼしい大会やぱっと思いつかないスポーツ(スノースポーツ、武道、ウォータースポーツ)などを挙げて考えさせる。
2.<批判側の記事を配り>この意見について賛成か反対か自分の意見を持ちグループで話し合いましょう。また、話し合った内容をクラスに発表してください。 ・確かにガムを噛みながらプレーすることは失礼だし、飲み込んだら危ない。
・そういう選手もいるが多くの選手はそんなことしないはず。
・そういう選手は強くないからそういうことをするんだと思う。
・見ていて不快に思う。
・子どもにとって悪影響。まねをする人がいると思う
・選手のイメージが下がってファンが減るので選手にとってもよくない。
・子どものうちは先生に注意されるのでそういうことはしないはずで、大人になってからするんだと思う。
・つばは仕方なく吐くなら仕方がないが腹いせにやるのは違うと思う。
・ガムを噛むと精神の統一ができるらしいので悪いとは思わないが、試合中にするのはよくないと思う。
・チームメイトや監督が許してしまうのが良くない。小さいころからスポーツマンシップを学ぶべきだ。
グループでの話し合いの時間をもうけ、話し合いの少ないグループには直接教師が生徒に話をふり、きっかけをつくる。
また、違った視点を与え、多くの考え方を出させるように誘導する。
おそらく、クラスでの発表では、反対意見の他にも擁護意見がでると思うので、肯定的に受け入れ、多くの意見や視点を出させるようにする。
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3.<擁護側の記事を配り>さっき出たみんなの意見とは違う意見がここにはあるが、みんなの考えはこれを読んで、自分の意見が変わるか、グループで話し合ってもう一度考えよう。 ・○○さんがさっきガムを噛む人は強くならないと言ったが、実際プロ選手でも噛んでいる人はいるんだからやっぱりそれは強さとは関係ないと思う。私はガムを噛まないというのは傲慢にならないために言っているのであって、直接プレイとは関係ないと思う。
・松原さんの意見のスポーツ観戦は選手の最高のパフォーマンスを見ているのであって、それがガムを噛むことで引き出されるパフォーマンスなら仕方がないという意見に少し納得した。
・私は反対です。私たちは選手の最高のパフォーマンスだけを見ているのではなく、選手の人間性も見ているのでやっぱり失礼な態度はやめてほしい。
・選手のつばはマナー違反と言う次元ではなく、文化という意見に対して、そう捉えたら見ている人も腹が立たなくなると思う。
・子どもたちはしかしそうとは思わない。子どもたちは文化という風には捉えないし、かっこいいと思ってマネしたらよくない。
・今までの話を聞いて選手は自分の行為が外部からどのように捉えられるかということを考えて行動すべきだと思った。それが面倒くさいと思う選手とちゃんと考えた上で判断する選手はやっぱり同じ能力だとしても違うと思う。
・ガムを噛むのは効果があるからいいと思うけど唾を吐くのは効果が分からないのであまりよくないと思う。特にイライラしているからってやるのは見ている人に明らかに分かるので不快です。
・やっぱりどんなわけがあろうともガムを噛んでいる人は傲慢に見える。我慢している人もいるはず。
・謙虚にスポーツをしている姿勢が私は好き!かっこいいと思う!
・選手だけでなく見ている人の理解というのも必要なのではないかと思う。選手だけをそうこういうのはよくない。
議論が白熱するように行う。具体的にこの意見に反対と言う人はいないか?という風に聞く。マイケルサンデラーのように!
つまり、反対、賛成、どちらかに偏らないように気を付ける。
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まとめ みんなの話から、スポーツ選手は自分の行為をどのように捉えられるか、考えてから行動することが必要だと分かった。また、見る側も選手の行為の意味を考えることが必要だと分かった。
これらの議論をとおして、①自分が考えたことのまとめと②自分がスポーツ選手と同じように今までの行いを振り返ってできることを紙に挙げて発表してください。
・見ている人も選手を理解することが必要なんだと思った。
・選手は「見られている人」、その観客である私たちは「見る人」であることが分かった。
同じことが私たちにも言え、私たちも見る人がどのような気持ちでいるか考えることが必要だと思った。
・若者だからと大人に理解されることはあっても、自分たちより小さい子どもが見る分にはそれは理解されないから、私たちは自分よりも小さな子どもの手本になるような行動をしなければならないと思った。
・図書館で自分たちには大事な話であっても、ほかの人にはただのうるさいやつらとしかとらえられていないかもしれないので気を付けたいと思った。
・価値観が違えば捉え方も違うと思った。例えば選手は血流高める効果を期待していたが観客は無礼だと思っていたとか
・選手も観客も思いやりの心が必要だと思った。
・自分はかっこいい服装だと思っていても、周りはけばけばしいと思うのとかは似ていると思う。
・より多くの人の目にさらされる人は自分の行動をたくさん顧みなければならないが、選手は自分のプレーが大事なのでそこまで考えるのは大変だと思った。けれど今回の話でそういったことまで考えられる選手はいい選手だと思った。
・人によって捉え方はいろいろあるので考えるのは難しい。自分のできることをすればいい。
・これから自分も多くの人に見られていると思って生活したい。
感想は人によっては難しいかもしれないので、教師は黒板に議論の要点をまとめておく。言葉でもこんな話だったねーと振り返り、感想を書きやすいようにしておく。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中2  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ:
評価の観点:
記事の批判意見と擁護意見にたいしてどこまで考えを深められるかみている。
よく考えればこの議論はどちらかひとつにまとまることは難しい。さまざまな観点で考えられたかということが評価の対象になる。
また、グループ、クラスで発言を積極的に行えたかも重要だ。
最終的には、選手と観客を「見られる側」「見る側」と捉えることができ、選手の立場を自分に置き換えて、日頃の行いを振り返ることができたか、という点が重要になる。
参考にした授業進行プラン:
  • スポーツ選手のマナー【削除済】