タイトル:

『変化』について考える

本時のねらい:大相撲において「変化」という手はルール上決して違反ではないが周りから良い目では見られない。しかし勝つことに有効な手段ではある。どうしても勝ちたいとき力士はある選択を迫られる。自分の相撲を捨てて「勝ち」という結果を狙いに変化をするのか、自分のいつもの相撲をするのかの二つである。つまり自分の利益のために自分の信念を否定しても良いのかどうかということを考えてほしい。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 大相撲の頂点に立つ横綱。横綱とは技量・品格が抜群でないとなれず相撲には常に勝つことと同じだけ内容も求められる。しかし、近年「相撲の美しさ」よりも「勝つこと」を優先している横綱が目立つ。その極め付けのような相撲が話題になった。
(信濃毎日新聞H27年9月27日)
・横綱という地位の重みをうっすらと理解する。
・美しさと勝つこと2つへの関心を持つ。
横綱という地位の重みを理解してもらえるよう教室の空気を重めにしたい。 EPSON009
展開

1.皆さんにこの相撲をみていただきたいです。
この取組を見てどう思いましたか。
鶴竜という力士が行った技は「変化」と呼ばれています。一見反則技に見えるかもしれませんがルール上は問題ありません。暗黙の了解として、「格下の者が格上の相手にする行為の一つ」とされています。しかし世間一般にはあまり良い印象を得られることはなく、この取組後館内は異様な雰囲気だったそうです。

・これが変化か
・大きいからだなのに飛ぶのか
・見苦しい
映像の注目してもらいたい点について説明を要所要所はさみたい。
2.この取組はしばらくの間、多くの物議が交わされました。鶴竜が変化をするに至った背景をざっと紹介したいと思います。
〈変化に至る背景〉
・この場所は3人いる横綱のうち2人が休場し鶴竜1人に横綱としての責任全てがかかることになった
・責任を果たすということは立派な成績を残すこと→ある意味優勝を示す
・鶴竜は横綱昇進後まだ優勝していない→優勝しなきゃいけないという焦りが前々からあった
・一時トップと星の差は2つあり優勝は絶望的であった
・しかしトップの力士が連敗しこの日の取組前にトップと並ぶ
・この取組に勝てば単独トップになり優勝が近づく
・対戦成績は大関稀勢の里の方が上(当時鶴竜の13勝28敗)で鶴竜としては苦手な相手だった
皆さんはこれを踏まえ鶴竜の変化についてどう思いましたか、班ごとにグループワークをして意見を出し合ってください。
・変化は汚い手段であり良くない
・変化は格下の者が格上の相手にするもので横綱がするべきではない
・横綱の2度の変化は前代未聞であり品格が問われる
・変化は食う方が悪い
・鶴竜は勝負に徹した
・それだけ優勝したかった
自分の私見を漏らさないように気をつける。
3.今回の鶴竜の変化について世の中では肯定派よりも否定派の意見が多かったのですが、これには相手が大関稀勢の里だったというのが1つの要因でもありました。それを皆さんにも知ってもらおうと思います。
〈外的要因〉
・稀勢の里は大関であり現役日本人力士最高位
・日本人力士(帰化した者を除く)の優勝はここ10年ない
・この取組に稀勢の里が勝てばトップと並び優勝の可能性が出てくる
・大関が優勝した場合、最高位である横綱に近づくことになる
・日本人横綱は17年誕生していない
・稀勢の里に期待がかかる
・敗れた結果、稀勢の里の優勝の可能性は消滅した
・これはあくまで個人の事情であって特別に左右されるべきではない
・日本人ファンが怒る気持ちもわかる
・これを知って否定派なった
・ある意味人種差別ではないか?
人種問題に発展しすぎないようにさらっと触れる程度にとどめたい。
まとめ 最後に今までの内容を踏まえ鶴竜は変化するべきだったのか、自分の意見をまとめて提出して下さい。変化について賛成か反対かまたその理由を明確に書いて下さい。 用紙は書きやすいものを事前に自作しておく。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中1  中2  中3  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ: https://www.youtube.com/watch?v=r3V8N-_-xW0

14F1006A 市川貴大
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