本時のねらい:2015年11月7日の毎日新聞に、同性カップルを”パートナーシップ”として、結婚に相当する関係と認める証明書を交付するという記事が載った。交際や結婚の形は、必ずしも異性間で行われるものではなく、同性であっても共に生きることを選択する権利がある。
これらの記事、道徳の教科書の内容を絡めながら、生徒に同性愛についてどう思うか意見を伝え合い、考えを深めてもらい、偏見意識を持たずに個人として付き合うことの大切さを学ぶ。
主な活動 | 発問 | 児童・生徒の反応 | 素材 | コツ・アイデア | 追加資料 |
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導入 | 「今日は、まず男女の違いについて考えてみたいと思います。男子生徒のみなさんは、女子のよいと思うところを、女子生徒のみなさんは男子のよいところを考えてそれぞれグループごとに話し合ってみましょう。」 | ・はっきりしている。 ・どろどろしていない。 ・爽やか。 ・優しい。 ・後腐れがない。 ・スポーツが出来る。 ・料理が出来る。 ・裁縫が出来る。 ・勉強が出来る。 ・力持ち。 ・いい匂いがする。 |
異性のことについて話し合うため、意見が出にくくなりそう。その場合は男子だけのグループ、女子だけのグループに分類するなど、グループ分けを工夫する。意見を全員が言えているか確認して回る。 | ||
展開 | 1.・「今、みなさんから出してもらった意見を黒板にまとめてみました。女子のみなさんは「女子のよいところ」の意見はこれで合っていると思いますか?男子のみなさんも同じように考えてみてください。」 |
・女子だからって、料理が出来るじゃない。お店で料理を作る人は男の人が多い。 ・僕は男子だけど、スポーツが苦手だ。反対に、○○さんは女子だけど、走るのが速くてスポーツが得意だ。 ・勉強が得意なんて、男子でも女子でも出来る人は出来るから、「男子らしさ」「女子らしさ」ではない。 ・力持ちは確かに…男子の方が力がある人が多いのかなあ?でも、力が弱い男の子もいるし、強い女の子もいる。 |
女子と男子で意見が出やすいようにグループに分けることも考える。 | ||
2.・新聞記事を生徒にプリントアウトして渡す。3分ほど時間を設けてそれぞれ記事を読んでもらう。 ・「記事を読んで考えたことをグループで話し合ってみましょう。」 |
・男の人と女の人には、さっきみんなで話し合ったように色々な特徴がある。だから、その人のことを好きになって一緒にいたいと思うなら、性別は関係なく一緒になればいいと思う。 ・でも子どもを授かろうと思ったら、男の人と女の人とが結婚しないと… |
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3.・道徳の教科書のp66からの「異性を理解し尊重して」を読んでもらう。 ・「これは『異性』のみに限られることでしょうか。今までの話し合ってきたことも含めてグループで話し合ってみましょう。」 |
・確かに普通はっていうか、大勢の人は異性を好きになると思う。でも、中には同性を好きになる子もいるかもしれない。 ・教科書の書き方は間違ってるんじゃないの? ・教科書の書き方は同性が好きな人の気持ちを考えていないからひどいと思う。 ・でも、大体の人は異性を好きになるから、この書き方でもいいんじゃないの? ・もし、自分が同性の人が好きな立場だったとしたら、「それでもおかしくないですよ」とか、「普通のことですよ」とか、わざわざ書いたり強調したりしないでほしいと感じると思う。かえって恥ずかしかったり、気まずい思いをする。 ・全員に配慮した書き方に変えてもいいと思う。異性を好きにならないとおかしいという風にとらえてしまうかもしれない。 |
道徳教材 私たちの道徳 中学校 |
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まとめ | ・グループごとに今まで話し合ってきたことをまとめて発表してもらう。 ・授業の中で自分で初めて感じたことや、仲間の意見に気付かされたこと、1時間を通しての気付きをプリントにまとめてもらう。 |
・新聞記事を読んだり、みんなの意見を聞いて、中には自分と同じ考え方をする人もいれば、自分にとっての当たり前が相手にとってはそうとは限らない場合もあるのだと気付けた。 ・男の人と女の人が付き合ったり、結婚することは当たり前のことだと思っていたけど、自分がどうしてそれを「当たり前」と思っていたのか、よく分からなくなった。 ・自分と違う意見や立場の人でも尊重出来るようにしたい。 |
その生徒の出してくれた意見を批判しないように気をつける。 |
- ●評価の観点: