タイトル:

助け合いの社会の裏に

本時のねらい:今世界規模で問題になっているイスラム国(IS)の活動による、イスラム教徒・シリア難民への差別について迫害される側の心情→迫害する側の心情と双方の意見についての記事をそれぞれ読み意見を生徒同士で交換してもらい考えをまとめる。そのあとでもし身の回りの立場に置き換えたときに自分は果たしてどういう行動をとるか、生徒それぞれで考え、なぜいじめや差別が生まれてしまうのか考えるとともに、相手を助けることが自分にとって利益にならない・かえって損になるようなことに直面したときにどう向き合うか、ただ単に助けることだけがすべて正しいとは限らないことを知っていてほしい。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 (ISについて簡単に説明をする)
そのあと↓
この記事を読んで思ったことを話し合って意見がまとまったらみんなの前でも教えてください。
・かわいそうだと思った。
・自分の立場に置き換えると仲間はずれにされているのは悲しいと思う。
・何も悪いことはしてないのに迫害されてしまう人がいるのはおかしい
・でも、日本にたくさん難民が入ってきたらちょっと怖いという気持ちはある。
・悪くない人もいるけど中には悪いことをしようとしている人がいるから疑って、あまり積極的に受け入れたくなくなるのも仕方がないことだと思う。
・生まれた環境が違うだけでこんなにひどい扱いをうけてしまうなんておかしい。受け入れないなんてどんな理由があってもあり得ないことだ。
・国がうまく難民を管理しないから国民も理解していないだけではないのか。
・難民の人の気持ちを受け入れる国の人たちが理解していないからこんなことが起こるんだと思う。
両方の立場がでてくるようになるとよい。
率直な意見をできるだけ多くの人から聞く。
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展開

1.もう一つ記事を読んでもらう。次は逆の立場から書かれたものです。
これを読んだ後にまた友達同士で意見を交換してなぜ迫害されるのか?→なぜ受け入れてもらえない?か考えてみてください。

・受け入れる国は自分・自分の周りの人に被害が及ぶかもしれないと考えるから。
・たしかに難民を受け入れるところがなくなってしまうとその人たちは困るけど、受け入れる方も自分たちの生活を侵されたくないという気持ちがあることがわかった。
・難民に対する非難をいうより、情勢をうまく把握せず安易に受け入れると宣言してしまった国に対する非難だった。
・もしこれが隣の国なら何も文句は言わなかっただろう。
・母親の気持ちとしては、子供が危険な目にあうかもしれないと考えるといやだと思う。
・誰だって見ず知らずの人より自分や自分の周りの人の方が大切なのは当たり前だからこういう意見が出てきてしまうのは仕方ないと思う。
・受け入れたくないといっている人たちは決して難民に対する悪意があってやっているわけではないと感じた。
・助けたいと思っていても自分にきたらどうしようと思うと助けることができない、といういじめの心情と一緒だと思う。
逆の意見の記事を読むことによって「相手にもいろんな事情がある」ことを理解してもらう。そのうえでそれでも受け入れないことは本当に悪いことなのかという疑問をもってもらい、次の発問に繋げる。 image2
2.2つの意見をふまえて、自分の思ったこと、考えたこと、どういう風に自分の中で考えが変わったか、、などなんでもいいので教えてください
・片方の意見しか聞かないと片方がかわいそうだという気持ちになるけど実際はお互いにいやな思いをしていると感じた。
・お互いに主張したいことが相反しているせいでうまくいってないと思った。だれか間に入ってくれる人がいればいいと思った。
・少数の人たちが悪いことをするせいで全員が酷い扱いを受けるのはやはりかわいそうだと思うので話し合って協力するべきだと思う。
・フランスの中にも受け入れることに寛容な人はいると思うのでそういう人たちと協力して様々な問題を解決していく努力をする姿勢を見せれば受け入れ反対派の人も協力してくれると思う。誠意がなければ人は動かない。
・自分に置き換えてみたけれど、やはり友達や家族がいやな目にあってしまうかもしれないと考えたら賛成できないのも仕方ないのかもしれないと思った。でも、双方の協力次第で解決策が見つかるかもしれない。
一般的な意見を聞く。
社会情勢に関する感想ではなく、心情にかんする感想を述べてもらうように進める。
3.自分の立場に置き換えている人がいましたが・・・・
もし、みんなの立場ならどうしますか?
例えば、困っている人を助けたら自分や自分の親が巻き込まれることになるかもしれないと分かっていたらどうですか?
進んで助けるでしょうか?
・困っている人は放っておけないので助ける。
・自分や親の方が大事。
・程度によるけど、深刻なものなら自分は助けることができない。
・もう少し具体的じゃないと分からない。
・ほかの人に相談してみる。
・迷惑をかけるかもしれない親や周りの人に聞いてみてその人たちが賛成するなら助ける。
・ほかの人と協力して助ける
・話だけ聞いてみる
・親や周りの人を巻き込んでまで知らない人を助けるのはただの偽善で迷惑行為だと思う。
あまりいい具体案が思いつかなかった。
もっと具体的な例があれば生徒も想像しやすいかもしれない。
まとめ 助け合いは確かに大切なことです。でも周りの友達・自分に危害が及ぶと分かっていたからあえて助けなかった、となっても決して責められるべきではないと思います。

ただ、そこで見捨ててしまうのではなく、周りの人や協力者を頼ってみんなで助けようとするということもまた一つの解決策であると思います。

皆さんがこの授業で感じたことを書いてみてください。
感想用紙
・自分や周りを犠牲にしてまで助けることだけが絶対ではないと思った。
・今回のことに関しても、自分や周りを犠牲にする以外にも何か解決策はあると思う。それを探すために一人ではなくほかの人に意見をもらったり協力をしてもらったりするのは大切な方法の一つだと気付いた。
・助けない人を責める気持ちはなくなったがそれでもやっぱり困っている人は助けたい。
自分がつらい思いをするのかもしれないけど、困っている人もつらい思いをしているのだから助け合っていきたい。
などなど?
紙にまとめる。
書くと意見がすっきりする。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中3  その他  
カテゴリ(教科) 道徳  国際理解教育  
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