タイトル:

命の選別

本時のねらい:命の選別に賛成か反対かという議論に持って行きたい訳ではなく、①「2005年8月、ハリケーン・カトリーナに襲われ電源を喪失した米国の病院のような状況になったとき、どういう選択肢が他にあったと思いますか」と問いたい。トリアージをする、しないという意見の中にも、「何を基準にトリアージをするのか」や「トリアージをしないのならば何をすべきなのか」という議論もでき得るので選択肢は無限大である。
そして、②「大切な家族・友人あるいは自分が、2021年2月、医療崩壊に陥り人工呼吸器の数に限りある日本の病院の患者だったら、①の選択肢を受け入れますか」と問いたい。①で過去にあった出来事が、②のように急に身近になったときに生徒は①で導いた選択肢のままなのか、否か。他人のこととして捉えがちなことを自分のこととして考えたときに、自分と同様に他者も尊重し、誰に対しても分け隔てなく公平に接し続けようとしたり(11)、生命を尊重したりする(19)ことの大切さを伝えたい。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 ①「2005年8月、ハリケーン・カトリーナに襲われ電源を喪失した米国の病院のような状況になったとき、どういう選択肢が他にあったと思いますか」 遠く離れた過去のこと、他人事として、考えた意見を期待。トリアージの有無だけでなく、選択肢は他にも出て欲しい。(トリアージの基準を変えたり、トリアージをせず、なるべく人名を救う努力をするなど) 新聞記事で選択肢を例に見せて考えを引き出しやすくする。ただ、記事全ては見せない。 D5793EEF-6B4A-449F-ACEE-DE8F6476CE96
展開

1.「大切な家族・友人あるいは自分が、2021年2月、医療崩壊に陥り人工呼吸器の数に限りある日本の病院の患者だったら、①の選択肢を受け入れますか」

①の発問時のときの意見と変わると予想。 ①と②で違いがない場合でも、もちろん大丈夫。ただ、差があったときに「気づき」があって欲しい。→展開2へ
2.①と②で選択肢に違いがあったのは、なぜか。 ここで、①と②の選択肢に差がある場合、それは平等性・公平性に欠け、命の尊重が平等にできていることにならないと気づけたか。 なるべくその気づきを生徒から引き出したい。
3.展開2を受けて、再度発問②を自分のこと・身内のこと・他人のことの、全て人のこととして、再度考えてもらう。
「2021年2月、医療崩壊に陥り人工呼吸器の数に限りある状態に陥ったとき、どのような選択肢があるか」
最終的に難しくて考えをまとめられなくても展開2での気づきを生かそうとした意見や、意見の根拠に展開2の気づきが踏まえられていることを予想。 正しい選択肢があるわけではない、ということはあらかじめ伝える。
ちなみに...ということで冒頭の記事の続きを見せる。新聞記事の意見はあくまで一例と伝える。
まとめ ② 「様々な問題・課題を自分事として考えてみたことはありますか」
最後に、現代で起こっている様々な問題や過去に起こった出来事について、自分・身内が当事者の場合を考えて発信したり、他の意見を支持(引用・リツイート等)したりすることに今回の気づきを生かして欲しい。
現実味がなく、匿名性の高いSNS等で簡単に発信できるから、つい他人事として捉えることが多かった、という意見。そもそも諸問題にあまり関心を抱いたことがなかったという意見。←なんで関心を抱けなかったのか、と掘り下げるのもアリ。 発問③の「様々な問題」と曖昧なので他人事として捉えがちで、「平等性・公平性に欠け、命の尊重が平等にできていることにならない」意見を述べがちな分かりやすい例として、SNS等での芸能人への批判(命を軽視するような発言)・バッシング・炎上等などを提示する。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中1  中2  中3  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ: 内容項目
11. 公正,公平,社会正義
19. 生命の尊さ
評価の観点:
過去のこと・他人事として考えた場合と、自分事として考えた場合で、その2つに差がある答えを生徒が導いたとしても、そのことが平等性・公平性に欠け、命の尊重が平等にできていることにならないと気づけたか、そして気づいた上で先の考え(選択)を深めたり考え改めたりできるか。