タイトル:

偏見ってなに?

本時のねらい: 偏見とはなにか理解を示そうとする姿勢を持ち、授業を通して意思疎通や人との接し方について考える。特に記事前半部分に焦点を当て考えていく。(記事前半部分では帰ってきたウルトラマン第33話について、後半では相模原での知的障害者施設における殺傷事件について触れている。)

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 一人につき一枚ずつ新聞記事を渡し、それぞれで新聞記事を読む時間を5分間取る。
(5分)
新聞記事を読む。
周りの子とおしゃべりをせず、静かに読んでもらう。
(クラスの様子に応じて)授業内容に興味を持ってもらえるように、雑談をしてから授業に入る。「新聞ってよく読む?」「帰ってきたウルトラマン見たことある人いる?」など
2020年1月12日信濃毎日新聞斜面
展開

1.・宇宙人を(と疑いをかけて)迫害する事と、怪獣退治の違いは何か。共通している点でも良い。
(10分)

4人程度のグループに分かれ意見を出し合う。消極的で意見をあまり出さない子がいるかもしれない。グループワーク中、クラスを回りながらそういう子に声をかけ意見を聞きグループ内で共有する。

・どちらも一人きりであったり少数派である。
・ヒーローは一人、迫害する人はたくさん。
・迫害は悪いこと、怪獣退治は良いこと。
・悪い人や敵をやっつけるのは良いこと。
・迫害は周りに流された人がやる。
・差別やいじめと迫害は同じ。
・怪獣退治はやらないと大変なことになるけど、迫害は大変なことにする。
・目的がはっきりしているかしていないか(退治することは、打ち倒すことや皆を守る事が、迫害はハッキリしていない)
グループごとに分かれて、問いに対して5分ほど考える時間を取る。その後クラス全体で意見を共有する。

似ているけれど違う行動を比較することで、迫害や偏見に対する印象を明らかにしていく。

停滞してきたら、
・怪獣退治は良い行いか、悪い行いか。
・宇宙人は迫害し、ウルトラマンにはそうしないのはなぜか。
等を問いかける。
2.・住民たちの迫害するという行為は何を目的としていたのか。(なぜ迫害したのか)

・文章中の、異質を排除する人間の弱さと差別が招くものとは何か。
(15分)
・よくわからなくて怖いから排除しようとする。
・ストレスの発散。
・それが当たり前になっていた。
・宇宙人は悪い存在だと思い込んでいて、それを攻撃することは正しいから。
・住民たちは、自分自身の行動が正しいか疑うことをしなかった。

・迫害があった時、それを止める人がいない。
・止める人がいたとき、その人が異質な存在となってしまい新たな的となる。(いじめと同じ)
・周りもやっているから正しいんだと思い込み、間違いに気づくことが出来ない。
・差別が当たり前になっていると、思考停止に陥り疑うことをしない。
引き続きグループに分かれ、各問に対して5分ほど考えて意見をまとめたのち、クラス全体で共有してもらう。

停滞してきたら、
・ウルトラマンはなぜ「勝手なことを言うな。おびき出したのはあんたたちだ」と言い人々に絶望したのか
について考えてみる。
3.「意思疎通できない障害者は不幸を生み出す」について触れる。

・意思疎通をすることは何を目的としているのか。
(10分)
・自分の考えを伝えたり、相手の考えを理解するため。
・相手の事を理解しようという気持ちを伝える。
・ただ単におしゃべりしたい欲を満たすため。
・相手が敵かどうか確認するため(危害を及ぼす存在でないか)
・自分の周囲に未知の存在があると不安になる。安心できる空間にしたいから。
・面白かったテレビや漫画を共有したいから。
意思疎通全般についてでも、自分の生活のなかだけに絞って考えるでも何でもよいので、自由に意見を挙げてもらう。
まとめ ・斜面を読むことを通して何を考えたか。
(第33話が伝えたい内容とは。)
(10分)
感想や意見、疑問に思ったことなど自由に書き込む。最後に提出する 最後の問は、一人ひとりで10分程度考え、一人一枚紙に書きこむ。紙は授業終了時に提出してもらう。挙手で数人に発表してもらうか、一枚にまとめて後日クラスに配布して共有する等をしたい(共有してほしくない場合はその旨を伝えてもらう)
  素材 追加資料
参考資料
学年 中3  その他  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ: 内容項目
「公正・公平・社会正義」

素材
・2020年1月12日発行の信濃毎日新聞斜面
・帰ってきたウルトラマン第33話「怪獣使いと少年」

第33話は救いのない話らしい。授業中、全員に視聴させるというのはやめたほうが良いかもしれない。1週間ぐらい気分が落ち込むかも。

記事の後半には深くは触れない。詳細が載っていない記事のため、憶測で事件について考えるのは良くないかもしれない。
評価の観点:
・意見交換の場において自分以外の意見を受け入れようとしている。
・偏見とは何か、自分なりの理解を示せている。