本時のねらい:医療技術の向上により我々人類の寿命は延びてきた。他方で医療技術の向上により、大きな苦痛を抱え、自我が無くても医療により「生かされている」という状況が存在する。果たして苦痛に耐えながら、健康に戻らないことがわかっていながら、死が現実的なものになるとわかっていながら「生かされる」というのは正義であるのか。今一度生徒に考えてもらい、一層命の尊厳を考えざる得ない世代として自覚を持ってもらう。
内容項目は「生命の尊さ」「よりよく生きる喜び」
主な活動 | 発問 | 児童・生徒の反応 | 素材 | コツ・アイデア | 追加資料 |
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導入 | 安楽死というワードを聞いたことがあるか問い、どのようなイメージがあるか問う。 | ・日本では承認されていない ・命を奪う行為 ・精神的な救い ・本人の意思は? |
生徒の考えを否定しない。教員は中立を保つ。 様々な意見や立場が存在すると思うので、とりあえず列挙して黒板に書き写す。 |
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展開 | 1.導入後まずこのネット記事を印刷したものを配る。これについて意見を出し合いグループワークをする。安楽死賛成派か反対派か分かれてもらう。その際狙いでも示した「命の尊厳」や「生かされている」という観点を基に自分はどう考えるか議論してもらう。 |
・他の承認されてる国ごとの違いは? ・厳密な基準があるのでは? ・やはり命を奪う行為はよくない |
各グループを回り、興味深い意見がない探してみる | ||
2.別れた派閥でディベートを行う。 賛成か、反対か その際「自分が身動きできない状態になった場合」どのように考えますか?「何もできない状態で生きたいと思うか?」などある程度基準を設ける。 |
反対派 ・命というのは無条件に尊いものである ・医者の精神的負担が大きい 賛成派 ・よりよく生き、よりよく死ぬために必要 ・臓器提供などの面で有用では? ・尊厳が守れる |
単純な相手への批判にならないように、見守り、健全なディベートになるよう留意する。 | |||
3.ディベートの結果を踏まえてグループで安楽死について気付かなかった点や、どういった問題があるのかを今一度グループ内で議論する | ・命を奪う行為はあくだと考えていたが、よりよく死ぬという発想はなかった ・家族の負担についても考えるべきだ |
各グループを回って興味深い意見がないか再度見回る。 | |||
まとめ | 最後に授業を通してどのように考えたか、今後医療がさらに発展していく社会でどのように命に対して尊厳の認識を考えるか簡単な意見書をまとめてもらう。 伝えたいメッセージ 命というものは尊い反面、必ず最後にはその灯は消えることになる。それは自然の摂理であるが人間は自らの科学技術でその灯を絶やさないように努力してきた。そうした中で「死に方」を考える権利は我々に存在するのかもしれない。今一度命の尊厳。「よりよく生き、よりよく死ぬ」ということに目を向けてほしい。 |
生徒が書きやすいように字数指定はしない。 |
- ●評価の観点:
- 安楽死に関いてどのようなことが議論され、理解できているか。生きること、生かされることについて理解し内容のある意見書を書くことができたかどうか。