タイトル:

難民は受け入れるべき?

本時のねらい:日本と移民の関係、移民の実情について新聞記事を通じて触れ、難民と私たちの違い、扱いについて理解を深める。また、難民についてについて自分で考え、共有して他人の考えを学び、最終的に自らの意見を確立する。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 難民を知っていますか? 「知ってる」「知らない」「怖い」「かわいそう」「貧乏」「紛争地帯から逃げてきた」  道徳授業の例に漏れず重いテーマである。しかし、授業時間が50分しかないこと、議題によっては議論するのに十分な知識を持っていないことが考えられるので、このような事例があるのだということを生徒たちに知ってもらう。そのため、法律の中身には触れない。
 はじめにワークシートを配布し、授業後に提出してもらう。自分の意見を持っていたとしても、全体の前でいうのは恥ずかしい、はばかられるといった場合や、全員に意見を聞いて意見が偏ったところを生徒が見ると、それが一般的な考え、クラスの総意に近いものと認識し、生徒自身の考えがゆらいでしまう可能性が考えられるためである。また、テーマや議題に政治的要素が混じる可能性が大きいので、クラスの意見、思想の一致を避ける狙いがある。
 最終的には「他人の意見を聞いたうえでの、難民に対する現時点の自分の考え」を持つことを目的とし、政治的意見や思想、特にクラス全体でそれらを確立する行為を決して行わない。
展開

1.わたしたちと関係あるの?

「ある」「あるけど実感はない」「ない」「ほぼない」「NGOとかは関係ある」  ほとんどの生徒は社会の教科書やニュース程度でしか難民の存在を知らない。日本と難民のかかわりを示すことで、テーマへの興味を強めることを狙う。
2.新聞記事を軽く読む
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難民って受け入れるべき?
「受け入れるべき」「受け入れるべきではない」「分からない」  発言してくれた生徒に軽く理由を聞いてみる。軽く問いかけるだけで深くは聞かない。その時点で思っていることを軽く話してくれたらうれしい程度の気持ちで。自分がなんでそう思ったのかを自分で考えるきっかけにする。
3.入管法ってなんでこんなに厳しいの? 日本だけ?(グループワーク) 「危ない人を入れないため」「ほかの国はもっと緩い」「厳しいんじゃなくてこれが普通」  50分では到底収まらなくなること、全員にする話としてはレベルが高すぎることから、入管法の中身は説明しない。
 なぜ日本は難民の受け入れを厳しくしているのかについて考える。理由を考えるだけでは政治的意見につながりにくいと思われるので、気軽に議論してアイデアを出し合う。
まとめ 世界と日本の難民の現状を紹介し、「難民は受け入れるべき?」
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意見共有後、ワークシートへ記入
「テロの危険があるのでやめるべき」「命が一番大事だから受け入れるべき」
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自分のワークシートに書き込む
 資料がデメリット側に偏っているので、新しく難民受け入れの良い側面について書いた資料の用意や、教師側からの補足を行い、資料によって思考が偏らないようにする必要がある。
 また、個々人の意見共有は多くても5人まででとどめておく。共有してくれる生徒が少ない場合は、こちらで用意した複数の考え方の例を示す。

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最終的な考えは発表せず、紙に記入してもらう。
評価の観点:
難民の現状をとらえ、その上で自分の意見を理由をつけて書けているかで評価を行う。