本時のねらい:公共施設整備によって居場所を失った路上生活者についての記事を教材とし,公共の利益と生活する権利の対立を考え,対立が起きた時にどのように双方の意見を尊重することができるかを考える.
【内容項目】社会正義,公共の精神
主な活動 | 発問 | 児童・生徒の反応 | 素材 | コツ・アイデア | 追加資料 |
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導入 | みんなのために,自分の希望をあきらめなくてはならなかったことはありますか? (習ってたら)公共の利益が個人の権利を奪う例にはどんなものがあると思いますか? |
・帰って遊びに行きたいけど,学校の掃除をする ・弟妹達のために,お菓子やゲームを我慢する ・道路を作るために,家が立ち退きになる |
・道路の例は出なかったらこちらで上げる. ・補償が付くものとつかないものがある.これについてどう思う? |
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展開 | 1.この新聞記事を読んで,当事者の路上生活者たちはどんな思いを持っていると考えますか? |
・自治体の都合で勝手に居場所を奪われて理不尽だ ・隠したい存在だとされて悔しい ・国の補償が不十分なせいで路上生活者になったのに,対応するどころか排除しようとしてくるのはおかしい ・平和の祭典といいながら不平等,差別が発生しているとはどういうことか ・国民を守ることができないなら五輪なんてする必要はない.その分の費用を自分たちの支援策に使ってほしい. |
・記事を読んでもらって,問いの答えを発表 | IMG_20220610_131100 |
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2.五輪を機会に始まった公園整備は,何のために行われたのだと思いますか? | ・来場者に安全な環境を提供するため. ・外国の人にきれいな日本を見せるため. ・五輪を機にもともと計画していた改修策を実施するため. ・居場所をなくすことで,路上生活者たちの自立を促すため |
路上生活者の意見に沿った目的と,自治体の立場に立った目的の二つが出るように,視点を伝える. | |||
3.今回の事例は,どのようにしたらお互いが対立することのない結果になったと思いますか? | ・路上生活者たちの意見も事前に聞いておくべきだった ・退去してもらった後の居場所を提供すべきだった ・夜間は訪れる人が少ないだろうから,夜間だけでも開放するようにしたらよかったと思う ・路上生活者用のスペースを公園内に設けて区分けすればよかった |
路上生活者が求めているもの,自治体が求めているものを出し,それらをぶつかることなく成り立たせる方法を模索させる. | |||
まとめ | この授業を通して思ったことをワークシートに記入してください. | ・自治体のやり方は横暴すぎると思った ・どちらの言い分もわかるから,両方が納得すると思う考えを出すのが難しかった. ・イベントの陰で迷惑をこうむっている人たちがいるかもしれないということが分かった ・自分だけではなく,相手の立場に立って考えることの大切さがわかった. |
素直な感想で良い. |
- ●評価の観点:
- ・路上生活者と東京都という二つの立場があることに気づいて,それぞれの立場を理解し,もっともよい案を考えようとしていること
・事例を多角的にとらえようとしていること