タイトル:

「社会」と「家族」の関係を考える

本時のねらい:内容項目:(1)(4)(9)(14)(17)
家族というものは、現在では多様な形があると言われている一方で、戦前の家族というものは1898年に制定された民法によって広く法で規定され、政治的な目的として天皇制を支えることなどもあった。人々は根深く封建的な意識を植え付けられ、家を管理するのは男性という考えが広まった。第二次大戦を経験した後、高度成長期には民法・憲法共に民主化されたにもかかわらず今盛んに問題として叫ばれ、全世代的な性別役割分業が広まり、現代に至る。
 家族の法的定義から1世紀以上経ち、憲法も民法の変化や各人に許された自由が広まった中、我々にとって「家族での役割」というものは自由になっていったのか。そして、今の状況と違う役割を担いたいと考えたとき、どのようにステップを踏めばよいだろうか。事前・事後学習も使って考えを深めてほしい。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 今日は宿題として出した、家庭での自分と同居する家族の立場について、そして役割について調べてもらうという宿題を出した。その結果をもとに、なぜあなたがその役割を家庭で担っているのかを、単語でもいいので挙げてみよう。そしてそれぞれの人は挙げたことをなぜしているのだろう。 自分の家には〇〇(自分から見た関係。父・姉など)がいる。

自分は家で△△(お手伝いなど)をしている。

△△は◇◇(お駄賃のためなど)のためにしている。
自分が家庭でどのように過ごしているかを客観的に振り返ることができるよう、宿題を出す時点で「児童・生徒の反応」にあるような例を示すと生徒が取り組みやりやすい。
展開

1.社会の授業で扱ったことを深める。明治時代には大日本帝国憲法のもと、民法という法律ができ、その中で家族はどのようなものだと定められた。そして第二次世界大戦を経て日本がGHQに占領統治され憲法が日本国憲法に変わり、形の上で民主化が行われた。しかし、高度経済成長期には男は外で働き女は家にいるという考えが広まり固定化した。資料①の1人目の解説をもとに、何が変わって何がそのままであったか、想像を含めてまとめてみよう。

憲法と民法が変わった。

人々の意識までを根底から変えることはGHQや新政府にはできなかった。

大きな変化を社会は求めたが、家族のような小集団には求めなかった。
社会の教科書を持参させるか提示させると対比できる内容が増える可能性がある。
また、内容を毀損しないような要約・言い換えを配布する。
2.資料①の残りの部分では、昔からの家族のあり方について、苦手な人たちが意見を書いている。また、資料②のように生活していて考える人もいる。なぜ苦手と思うようになったのだろう。
周りの人とも話してみよう。
他人から無意識に役割を決められるのが我慢できないのではないか。

片方の性別がもう片方を縛り付けているのがおかしい。

家族でも個の自由があっていい。
素材を10:27から13:35まで見せる。

記事や動画を鵜呑みにして単なる批判だけするのではなく、何が重要なのかをまとめる。
3.2.に対して、昔ながらの考えの方が自分に合っているとも考える人もいるだろう。なぜそのように考えるのだろう。
周りの人とも話してみよう。
育ってきた環境は自分にとって当たり前なので、そのまま従うのが自分に合っていた。

こちらの価値観の方が自分に近く、それがほかの家族と合えばいいのではないか。
2.で考えた意見の逆や否定だけを考えて終わるという事がないように助言する。

資料が補完していない領域となるので自由に考えられるよう、時間を長めに確保する。
まとめ 「自分は家族での今の立場を変えたい」「自分は家族で果たす役割はこのままでいい」などと、多様な考えが認められ、かつ公共の福祉の範疇でそれを行使して良い社会である。一方でそれを許容する場は家族内でのコミュニケーションや、社会と家族とを切り分けて考えるなど、自分から環境を獲得しに行くことが求められる場合が多い。自分にとっての家族における役割とその価値を自分から見つける努力をほしい。今回の授業から思ったことをゆっくり考えて今週中にワークシートにまとめて提出してほしい。次週完全匿名にしてクラスに共有する。 自分が家族として暮らす上でも意見を持ちたい。

同じような立場の大半の人が望んでいるからといって全ての人が望んでいるとは限らないかもしれない。
授業内で意見を総括させず、家で家族と話をしたり、自分の経験をもとに時間をかけて考えをまとめてもらう。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中3   その他  
カテゴリ(教科) 社会   道徳   総合   キャリア教育  
メモ: ①「家」制度なくなったのに… 嫁、主人、家父長制 結婚後の現実(2021/09/12/09:30・朝日新聞デジタル)
https://www.asahi.com/articles/ASP9C66MGP8KUCLV00M.html?iref=pc_ss_score_article
②落合陽一×蜷川実花「ジェンダーギャップ」を考える【動画/58:42】(2020/01/29/22:00・NewsPicks)
https://newspicks.com/movie-series/28?movieId=503
評価の観点:
自分の意見を色々なものに触れて考えたうえで説明できる。