タイトル:

自尊感情を高める道徳教育

本時のねらい: 本時は,自尊感情の3つの観点である,「自己評価・自己受容」,「関係の中での自己」,「自己主張・自己決定」に基づき,生徒の自尊感情の傾向を把握することで,自尊感情を高めることをねらいとする。
 道徳教育で道徳性を養うことは,健全な自尊感情を育てることにつながる。そして,自尊感情を高めることは,生徒の自信ややる気,確かな自我を育てることにつながる。また,このことは,自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることにつながり,人権教育の一部として必要性が認められる。
 本時においては,具体的には「自己肯定感」「自己充実感」「自己成長感」「他者からの受容感」を高めたい要因としてピックアップした。他者を認めることと,他者から認められることで自己肯定感を実感できるきっかけとなるよう配慮した。

(内容項目)学習指導要領解説 特別の教科 道徳より
A-(3) 自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。
B-(8) 友情の尊さを理解して心から信頼できる友達をもち,互いに励まし合い,高め合うとともに,異性についての理解を深め,悩みや葛藤も経験しながら人間関係を深めていくこと。
B-(9) 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに,それぞれの個性や立場を尊重し,いろいろなものの見方や考え方があることを理解し,寛容の心をもって謙虚に他に学び,自らを高めていくこと。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 皆さんは,いまの自分に満足していますか?自分のことは好きですか?
可能であれば,具体的にどんなところが満足/不満かも書いてみましょう。
(ワークシート①Q1へ)
・満足してる
・(ここ)を直したい
・好き
・嫌い
・嫌いじゃないけど満足はしてない
いまの自分自身を振り返り,もし満足いかないことがあればどこに満足できていないのか,あるいはここは他人より優れている!という点をまとめてみる。
展開

1.自分の短所や思い込みなどの枠組みを外し,別の角度から考える,「リフレーミング」という考え方があります。先ほどの自分の振り返りに当てはめて考え直してみましょう。
(「リフレーミング」の資料を参照。ワークシート①Q2へ)

・考え方を変えれば短所も悪い面だけではないのかも
・逆に自分が良いと思ってたところ,悪い面もあるのでは?
リフレーミングは,ストレスに対処する方略のひとつであり,自尊感情を高めるだけでなく,自尊感情や自己効力感を守る,高めるという意味もある。 reframe
2.(ワークシート②を配布)
さて,ここで,クラスのメンバーの良いところを書いてみましょう。僕だけが知っている〇〇君のいいところ!でもなんでも大丈夫です。
ワークシート②の吹き出しに書いてみましょう。
(クラスのメンバーについて振り返ってもらい,良いところを記入する。) 誰の良いところを書くかはランダムにする。回して,1人あたり3人程度書いてもらうようにする。いつも仲の良い友達だけでなく,あまり話さない様な関係性・異性でもかけると良い。なお,だれが書いたかは匿名とする。
先にリフレーミングの言葉を示すことで,誰に対しても少しでも+の言葉をかけやすくなる。プラスの言葉を他人にかける,文字起こしすることで,他人に対する認め方のコツをつかんでもらえたら良い。
3.みんなから書いてもらった,友達からみたあなたの良いところをみて,最初に考えた自分に対する良いところや悪いところに変わりはありましたか?もし,自分の中で知らなかったところや意外なところがあれば,ワークシート①Q3に書き出してみましょう。 ・自分には意外とここが良いところとして認めてもらえているんだ
・ほんとに自分にこんなところあったっけ?
自分が気づいていなかったところを指摘されることを目的とする。自分が知っている面だけでなく,他人から認めてもらうという経験を通して,個性を大切にしていこうという気持ちを想起させる。
まとめ さて,最初に問いました「いまの自分に満足しているか」について,改めて考えてみるとどうでしょうか?
気付いたことがあれば,ワークシート①Q4に書いてみましょう。
・意外と良いところあるかも
・悪いところも見方を変えればよいところにもなりうるんだ
「Very Good(自分はとても良い)」ではなく「Good enough(自分は)」に気づいてもらいたい。
評価の観点:
・自分の悪い面に気づき,それは見方を変えれば良い面であることに気づけたか。
・クラスメイトの良いところを認めることができたか。
・良い面,悪い面を含めた今の私の価値に気づけたか。