タイトル:

命の道徳教育

本時のねらい:新聞記事の内容(医療ルネサンス 着床前検査『障害者の幸せ 議論不足』読売新聞,2017年12月8日)および障害者についての情報を通して、障害の有無にかかわらず、かけがえのない命の大切さを考えさせる。

主な活動 発問 児童・生徒の反応 素材 コツ・アイデア 追加資料
導入 あなたの身の回りには障害を持つひとはいますか?また、あなたは、障害者に対して、どのようなイメージを持っていますか? はいorいいえ
「かわいそう」、「こわい」、「(蔑みの意味で)おかしい」、「面白い」、「○○が凄い」、「(対応が)めんどくさい」、「好きor嫌い」、「迷惑をかけてくるのが嫌」、「よく笑っている」、「どうでもいい」など
自分にとって、障害者はどのような位置にいるのかを考えさせる。
生徒自身が障害を持っている可能性も十分にある。生徒自身が自覚していない場合は生徒がその部分に無理に触れることがないよう、自覚している場合はその生徒の尊厳を傷つけることのないように注意して話を続ける。
また、生徒が(障害の有無がわからない)ある生徒を障害者として選択するかもしれない。生徒がそれを声に出して広め、その行為がクラス内に普及しない限り、そんなことになっても、最期まで授業を続けてもよい。ただし、対象の生徒の尊厳を傷つけないことを最大限に注意し、その行為がいじめに繋がったりしないように気をつける。

展開

1.あなたは「障害」についてどれくらい知っていますか?
分類や名前、身体に与える影響、治療法、社会の対応など、様々な点から思いつくだけ書いてみましょう。

分類...知的障害・身体的障害、ADHD、アスペルガー症候群、多動症、ダウン症、吃音、盲・聾、身体麻痺、身体の欠損、漏斗胸など
身体に与える影響...分類の内容
治療法...通院、投薬治療、リハビリ、義腕・義足など
社会の対応...障害者手帳の発行、障害者雇用の推進、障害者学校・特別教室の設定など
どんな意見があるか発表させるが、おそらくそんなに出ないので早めに切り上げる。
この質問は「障害についてよくわかっていない生徒もいるかもしれないので、全ての生徒がなるべく同じ土俵に立てるようにする」ためにする。
2.(記事を見て)あなたは着床前検査に対し賛成ですか?反対ですか? 賛成or反対 クラスによっては、発問2で話を停めるとそこから論争が始まり、授業が停滞する可能性があるので発問2.3を同時にやり、意見がまとまったところで話し合いをした方が良いかもしれない。また、少数派意見が淘汰されないよう、班内で意見をまとめないよう注意する必要がある。
また、生徒の意見が完全に一方に寄った場合、教員はその反対の意見で煽ってみる。別に無理矢理生徒を考えを変えさせる必要は無い。
3.前の質問でそのように答えた理由はなんですか? 賛成...「障害を持って生まれるのは障害がないものよりも大変だから」、「社会に不要だから」、「障害を持つ子供を産んで育てるのは親も大変だから」、「(生活するのに)余分にお金がかかるから」、「生まれる前なら問題ないと思うから」など
反対...「障害に関わらず、命を奪うのは良くないから」、「(賛成意見に対し)障害を持つ人たちができないことがあっても、自分たちが手助けしてあげれば良いから」、「生まれたからその人達が本当に苦労するかはわからないから」、「不幸になるかもしれないけど、幸せになることもあるから」など
障害者に対し差別的な意見も多く出るであろう。この後、追加資料として、障害者の働いている現場などを特集している記事や、障害者の就業状況をまとめた資料をわたし、社会における障害者の立ち位置を教える。
まとめ (データベースを見た後)これまでの情報を踏まえて、あなたは着床前検査に対し賛成ですか?反対ですか?
また、その理由はなんですか?
賛成or反対
賛成...「社会が対応し切れていないから、やっぱりやるべきだと思う」、「(障害者がいても)お金がかかるだけだから、やってもいい」、「障害がないに越したことはないから、やってもも問題ないと思う」、「彼らの楽しくても、我々に迷惑をかけてくるのはやはり問題だと思う」、「(データベースを基に)やっても問題ないと思う」など
反対...「(障害者)みんな頑張っているのだから、それを生まれる前から殺すのは良くないと思う」、「幸せな人生を奪うのは良くない」、「少子高齢化社会の中、それだけの理由で子供を殺すのは良くない」、「われわれが生まれてくる命をどうこうしようとするなんぞおこがましいことだと思わんかね」など
ここで反対意見を出している生徒たちも、決して障害者達を差別的な眼で見ているとは限らない。そして、そのことを言及する必要も無い。
  素材 追加資料
参考資料
学年 中3  
カテゴリ(教科) 道徳  
メモ:
評価の観点:
生徒たちが、障害者に対して、そしてこれから生まれる命に対してどのように尊厳を持たせるかを考えさせる。命の大切さを、生徒の言葉でかまわないのでまとめさせる。